適正な実施のためのガイドライン
第1 趣旨
このガイドラインは、在宅ワークを安心して行うことができるようにし、かつ、後に紛争が起こること未然に防止するため、在宅ワークの契約条件の文書明示や契約条件の適正化などについて必 要な事項を示すものである。在宅ワークの仕事を注文する者は、契約を締結する際には、在宅ワーカーと協議した上で契約の内容を決定するとともに、第3に示す内容を守っていくことが求められる。
第2 定義
このガイドラインにおける以下の用語の意味は、それぞれに定めるところによる。
(1)在宅ワーク
情報通信機器を活用して請負契約に基づきサービスの提供等を行う在宅形態での就労のうち、主として他の者が代わって行うことが容易なものをいい、例えば文章入力、テープ起こし、データ入力、ホームページ作成などの作業を行うものがこれに該当する場合が多い。ただし、法人形態により行っている場合や他人を使用している場合などを除く
(2)在宅ワーカー
在宅ワークを行う者をいう
(3)注文者
在宅ワークの仕事を在宅ワーカーに注文する者を言う。
第3 注文者が守っていくべき事項
(1)契約条件の文書明示及びその保存
イ 契約条件の文書明示
注文者は、在宅ワーカーと在宅ワークの契約を締結するときには、在宅ワーカーと協議の上、在宅ワーカーに対して、次の①から⑦の事項を明らかにした文書を交付すること。
ただし、契約関係が一定期間継続し、受発注が繰り返されるような場合、各回の受発注に共通する事項を包括的な契約とし、納期等各回の個別の事項をその都度の契約内容として、それぞれ明示することも可能であること。
①注文者の氏名、所在地、連絡先
②注文年月日
③注文した仕事の内容
④報酬額、報酬の支払期日、支払方法
⑤注文した仕事にかかる諸経費の取扱い
⑥成果物の納期、納品先、納品方法
⑦成果物が不完全であった場合やその納入が遅れた場合の取扱い補修が求められる場合の取扱いなど)
なお、文書を交付する際には、別紙のモデル契約様式の活用が望ましい。
口 契約条件の文書保存
注文者は、在宅ワーカーとの契約条件をめぐる紛争を防止するため、上記イの事項を記載した文書を3年間保存すること。
ハ 電子メールによる明示
上記イの①から⑦の事項は、文書の交付に代えて電子メールにより明示してもよい。
ただし、その場合でも、在宅ワーカーから文書の交付を求められたときは、速やかに文
書をその在宅ワーカーに交付すること。
(2)契約条件の適正化
イ 報酬の支払
①報酬の支払期
報酬の支払期日については、注文者が在宅ワーカーから成果物を受け取った日から起算して30日以内とし、長くても60日以内とすること。
②報酬の額
報酬の額については、同一又は類似の業務に従事する在宅ワーカーの報酬、注文した仕事の難易度、納期の長短、在宅ワーカーの能力等を考慮することにより、在宅ワーカーの適正な利益の確保が可能となるように決定すること。なお、報酬の額については、最低賃金を参考にすることも考えられる。
口 納期
納期については、在宅ワーカーの作業時間が長時間に及ばないように設定すること。その際には、通常の労働者の1日の労働時間(8時間)を目安とすること。
ハ 継続的な注文の打切りの場合における事前予告
同じ在宅ワーカーに、例えば6月を超えて毎月1回以上在宅ワークの仕事を注文しているなど継続的な取引関係にある注文者は、在宅ワーカーへの注文を打ち切ろうとするときは、速やかに、その旨及びその理由を予告すること。
二 その他
成果物が不完全であったことやその納入が遅れたことにより損害が生じた場合に、
上記(1)のイに基づきあらかじめ契約書において在宅ワーカーが負担すると決めて
いる範囲を超えて責任を負わせないようにすること。
(3)その他
イ 個人情報の保護
注文者は、業務上知り得た在宅ワーカーの個人情幸酎こついて、本人の同意なく無断で、目的外の使用、第三者への提供その他漏洩行為を行わないこと。
口 健康確保措置
VDT作業(注)の適正な実施方法、腰痛防止策などの健康を確保するための手法について、注文者が在宅ワーカーに情報提供することが望ましいこと。
ハ 能力開発機会の付与
注文者は、在宅ワーカーの能力の維持向上を図ることを目的として必要な能力開発機会を付与することが望ましいこと。
二 担当者の明確化
注文者は、あらかじめ、在宅ワーカーから問い合わせや苦情等があった場合にそれを受け付ける担当者を明らかにすることが望ましいこと。
(注)VDT作業とは、CRT(ブラウン管や液晶)ディスプレイ、キーボード等により構成されるVDT機器を使用して、データの入力・検索・照合等、文書の作成・編集・修正、プログラミング等を行う作業をいう(昭和60年12月労働省「VDT作業のための労働衛生上の指針」参照)。
